キャリアコンサルタントの仕事内容は？基本的な役割と業務内容を解説

近年、働き方の多様化やキャリアに対する価値観の変化により、キャリアコンサルタントの役割が注目されています。
キャリアコンサルタントの仕事内容は多岐に渡り、就職や転職の相談はもちろん、キャリアプランの設計・自己分析のサポート・企業の人事戦略策定など、幅広いのが特徴です。

本記事では、キャリアコンサルタントの仕事内容について詳しく解説していきます。
基本的な役割と業務内容を紹介するので、キャリアコンサルタントになった後の業務イメージを固めたい方はぜひご参考ください。

就職・転職活動の支援

キャリアコンサルタントと言われてまず思い浮かぶ仕事のひとつが、「就職・転職活動の支援」です。
転職エージェントなど人材紹介サービスでよく提供される支援であり、多くの人に馴染みのある仕事です。

就職・転職活動の支援内容
• 適職診断
• 業界分析サポート
• 企業分析サポート
• 求人紹介
• 履歴書・職務経歴書の添削
• 模擬面接

適職診断

適職診断とは、個人の性格・興味・スキルなどを分析し、適性の高い業種や職種を提案する診断です。
「適材適所」な仕事をするための手法であり、相談者自身ですら気づいていない適性を、客観的なデータとして提示できることに強みがあります。

自身の強みや弱みをより深く理解するきっかけになりやすく、キャリアの選択肢を広げることに貢献できます。
実際の手法としては、MBTI・エニアグラム・VPI職業興味検査など、個人の性格分析に強いフレームワークを使うことが多いです。
その後、適職診断の結果だけでなく、相談者の価値観や希望も考慮しながら総合的なキャリアプランを設計します。

業界分析サポート

業界分析とは、特定の業界に関する情報を収集・分析することです。キャリアコンサルタントは、業界分析のサポートをすることも多いです。

実際に収集するデータは多岐に渡り、市場規模・成長率・競合状況・顧客ニーズ・業界における技術革新の動向から将来的な技術トレンドに至るまでさまざまです。
その他、業界に関連する法規制や政策の動向を分析するなど、時代に合った分析内容を提供します。

実際に転職活動中の個人が専門的な情報を収集するのは難しく、キャリアコンサルタントのような専門家が相談を受けることは非常に増えています。
偏りのない客観的な分析により、正確な意思決定を支援していきましょう。

企業分析サポート

企業分析とは、特定の企業に関する情報を収集・分析することです。キャリアコンサルタントは、企業分析のサポートをすることも多いです。

例えば、その企業の強み・弱み・競合会社・収益性・将来性・成長性・経営戦略など、今後の発展可否を問う多数のデータを分析していきます。
産休育休の取得率・男女比など、公式のデータ上に表面化されづらい情報を集めることもあります。

「転職してから後悔しないよう事前に情報を知っておきたい」と考える転職希望者にとって、とても有意義なサポートとなるでしょう。
また、今の社員や過去の社員から寄せられるリアルな口コミを収集し、残業の実態などを調べることもあります。

求人紹介

相談者のスキル・経験・希望条件に合った求人情報を提供するのもキャリアコンサルタントの役目です。
スキルや経験のヒアリングから始まり、将来的なキャリアイメージに合う条件を選定し、それに合う企業をいくつか抜粋していきます。
相談者のメリットだけでなく企業のメリットも考えながら最適なマッチングをしていく点が腕の見せ所で、双方にとってWin-Winな結果を目指します。

また、近年はスカウトマンとして活動するキャリアコンサルタントも出ています。
直接オファーをして紹介手数料をもらうビジネスモデルであり、働きぶりに応じて成功報酬型でどんどん年収を伸ばせます。

履歴書・職務経歴書の添削

相談者の履歴書・職務経歴書を添削し、書類選考や面接選考の通過率を上げる支援を実施します。
第三者の視点を加えてより魅力的な書類になるよう改善していく手法であり、採用担当者の目線でリアルな評価をしていくことが大切です。

また、応募企業ごとに書類を変えるなど、企業が求める人物像に合わせる戦略的なサポートも求められます。
学生の就職活動の場合、エントリーシートや小論文の提出などもサポートすることがあります。

模擬面接

模擬面接では、本番の面接を想定して行う実践的なシミュレーション面接を実施します。
キャリアコンサルタントを面接担当者と仮定して実際の受け答えを練習する場であり、対応力やコミュニケーション能力を上げたい相談者に対して実施されます。
実際の面接の流れに沿って質疑応答を行うことで本番への不安を軽減し、相談者が自信を持って面接に臨むための準備にもなるでしょう。

その他、集団面接・Web面接・グループディスカッション・プレゼンテーションなどの練習をすることもあります。
企業の選考手法に合わせて対策できるよう、キャリアコンサルタント側のトレーニングも欠かせません。

キャリアコンサルティング

キャリアコンサルティングとは、相談者が自己理解を深め、キャリアプランの設計をサポートするために実施されるコンサルティングです。
ここでは、キャリアコンサルティングでどのようなサポートを提供するのか解説します。

キャリアコンサルティングのサポート提供
• 自己分析サポート
• スキル評価
• キャリアプランの作成
• ワークライフバランスに関するアドバイス
• メンタルサポート

自己分析サポート

自己分析とは、自分の価値観・強み・弱み・興味関心などを深く理解するための分析です。
キャリアコンサルタントは、自己分析のサポートをすることも多いです。

一自分で自分のことを徹底的に掘り下げて考える思考プロセスであり、自分の興味や目標を明確にし、適性のある職業や働き方を見つけられるのがメリットです。
時には幼少期から現在までの経験を振り返って考えてもらうなど、相談者の行動パターンや価値観を仕事に結び付けるサポートをしていきましょう。

なお、自己分析は自分ひとりで実施することも可能ですが、なかなか客観的な分析ができないのがネックです。
そのためキャリアコンサルタントのサポートが求められていて、長期的なキャリア目標の設定に貢献していきます。

スキル評価

スキル評価とは、相談者の能力や習熟度を客観的に測定し、その人の成長やキャリア開発に役立てるためのサポートです。
実務経験から判断することが多く、実務経験から判断することが多く、「どんな業種・職種で役立つスキルなのか」という情報も含めて提供していきます。

そのため、過去の仕事とは全く毛色が異なる会社でも今のスキルが役立つ、など目から鱗の情報を提供できることも多いです。
キャリアコンサルタントという専門家だからこそできる情報提供であり、業種・職種を横断的に知っていることが役に立つでしょう。

また、スキルレベルも評価できるため、「将来的に部署長を狙える」「技術職として現場で働き続ける方が良い」など将来性に関するアドバイスも可能です。

キャリアプランの作成

キャリアプランとは、将来のキャリア目標を明確にして、目標を達成するための行動計画に落とし込んだプランのことです。

いわゆるキャリアにおける「将来設計」であり、変化の激しい現代社会において、キャリアプランを作成することは成功に不可欠となりつつあります。
また、将来のキャリア目標を明確にすることで日々の行動に意味を持たせることができ、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。

また、結婚・妊娠・出産・マイホーム購入などライフイベントと関連付けたキャリアプランを作成することもあります。
今の時代の働き方に合うプランにしておくことで、相談者の満足度も上がります。

ワークライフバランスに関するアドバイス

キャリアコンサルタントは、ワークライフバランスに関するアドバイスをすることもあります。
バリバリ仕事をして年収2,000万円を目指したい人もいれば、子育て・介護や趣味と両立しながら無理のないペースで働きたい人まで、考え方は多種多様です。 どのキャリアが正解と決まっていないからこそ、パーソナライズされたキャリアプランの作成が欠かせません。

また、ワークライフバランスは短期的な目標ではなく、長期的な目標として考える必要があります。
ライフステージや状況の変化に合わせて、柔軟に見直していくことも多いので、定期的にキャリアコンサルタントのサポートが求められます。

メンタルサポート

キャリアコンサルタントは、相談者のメンタルサポートを担当することもあります。
専門的なカウンセリングは心理カウンセラーや公認心理師の領域ですが、キャリアに関する不安や心配事が根底にある場合、キャリアコンサルタントが力になることも多いです。

就職・転職・キャリアチェンジなどの悩みは生活と密接に関係するため、ストレスや抑うつにつながることがあります。
メンタルヘルスの重要性が叫ばれている今だからこそ、職場での問題があるときはキャリアコンサルタントが人事部や社会保険労務士・弁護士の橋渡しとして機能することも珍しくありません。
その他、ストレスマネジメントの指導や傾聴・共感によるサポートをしていきます。

企業の人事戦略に関するアドバイス

キャリアコンサルタントは、個人の相談者だけでなく企業をクライアントとして抱えることもあります。
その場合、企業の人事部門や経営層を相手に、人事戦略に関するアドバイスを提供します。

企業の人事戦略に関するアドバイス
• 人事戦略の企画・立案・実行
• 採用計画の企画・立案・実行
• 従業員向けの研修・教育
• 職場でのキャリアアップ支援

人事戦略の企画・立案・実行

人事戦略の企画・立案・実行にキャリアコンサルタントが携わり、人的資源活用の最大化に貢献することがあります。
例えば、従業員のスキル・経験・キャリア志向などを分析し、人材の過不足や偏りを把握できれば、今後の教育方針が立てやすくなるでしょう。
また、企業のビジョンや価値観に基づいた人事戦略を策定すれば、人事評価制度や給与テーブルの構築もしやすくなります。

人事制度の設計や運用を支援し、従業員の能力開発やキャリア形成を促進すれば、企業の成長に役立ちます。
キャリアコンサルタントは従業員のキャリアに関する深い知識と経験をもつ専門職であり、現場のニーズや課題を把握しながらアドバイスできるのが強みです。
キャリアに関する専門的な知識やスキルを活かして、効果的な人事施策を提案していきましょう。

採用計画の企画・立案・実行

キャリアコンサルタントは、採用計画の企画・立案・実行を支援することも多いです。
企業の経営戦略や事業計画を基準として必要な人材像を明確化し、具体的な採用要件を定義していきます。
その他、各部署の業務内容や求めるスキルセットを詳細に分析して求人要綱に反映したり、ときには実際の書類選考・面接選考を担当したりするケースもあるでしょう。

労働市場の動向や競合企業の採用状況を把握し、自社の採用戦略に反映させるのがミッションとなります。
また、ときには企業の魅力を最大限にアピールする採用コンセプトを策定し、採用数の増大に貢献することもあります。
ターゲット層に効果的にリーチするための採用チャネルを選定するなど、採用の専門家としての役割が期待されます。

従業員向けの研修・教育

キャリアコンサルタントは、従業員向けの研修・教育における貢献も可能です。
研修・育成プログラムを具体的に考案するところから、研修における登壇者になるところまで、幅広くサポートしていきましょう。

内容は企業の課題ごとに多岐に渡ります。従業員が自身のキャリアについて考える「キャリアデザイン研修」、
仕事とプライベートの調和を図るための「ライフキャリア研修」、
管理職が部下のキャリア開発を支援するための「管理職向けキャリア面談研修」など、内容もさまざまです。

また、近年はコンプライアンス研修やハラスメント研修など、労働リスクを防ぐ研修も積極的に実施されています。
参加者が主体的に学び、行動変容を促すようなプログラムにすることで、参加率を上げていきましょう。

職場でのキャリアアップ支援

職場でのキャリアアップ支援として、個別キャリアカウンセリング、キャリア研修・セミナーの実施、社内キャリアパスの設計などが挙げられます。
自社独自の取り組みをすることで、個人のキャリアまでしっかり目を向けてくれる企業という印象を植え付けやすくなるでしょう。
結果、従業員満足度が上がって離職を予防できたり、新卒採用が増えたり、さまざまなメリットが得られます。

その他、キャリア支援につながる福利厚生を考えるなど、戦略的な施策を考案することも多いです。
メンター制度の導入、1on1ミーティングの実施など、従業員のニーズを満たす施策にしていきましょう。

まとめ

キャリアコンサルタントの仕事内容は幅広く、相談者個人のカウンセリングから企業の人事戦略策定まで多岐に渡ります。
特定分野に強いキャリアコンサルタントを目指すことも、マルチに活動できるゼネラリストなキャリアコンサルタントを目指すこともできるので、まずは仕事内容をリアルにイメージするところから始めましょう。

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